2022年度 新任教授記念講演会要旨
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予防医学のさらなる発展を目指して
護山 健悟(総合診療学系健康管理学)
医学部卒業後内科の各専門科を2年間かけて研修し、その後臨床大学院に進み遺伝性脂質代謝異常の研究に従事した。生化学教室を経てNIHに留学し、Hermansky-pudlak症候群の原因遺伝子産物の機能解析に従事した。その後、BostonのNortheastern University に移り Gタンパク質共役受容体(GPCR)、特にadenosine receptorの生合成を研究した。
2011年4月より東海大学医学部非常勤講師として八王子病院で週一回の勤務後、2012年1月より基盤診療学系(現総合診療学系)健康管理学准教授として採用頂き、それ以来八王子病院の健康管理センターで人間ドック業務を行っている。インスリン抵抗性やメタボリックシンドロームと脂質を中心にした指標や生活習慣の関係の研究を実施しいる。今後は、人間ドックの受診後の積極的な介入による予防医学の推進、障害者など社会的な弱者を含む誰にでも優しい人間ドック、人間ドックの国際化、を目標に東海大学医学部の予防医学に貢献していきたい。【2022.7.4】
ニューロリハビリテーションの新展開
水野 勝広(専門診療学系リハビリテーション科学)
これまで脳や脊髄など中枢神経は一度損傷すると再生されず、一度損傷されると回復は見込めないとされてきた。しかし、近年の医学の進歩により、適切な治療により中枢神経の可塑性が誘導されることが明らかになり、脳卒中患者による重度片麻痺や高次脳機能障害などに対してニューロリハビリテーションによる改善の可能性が広がっている。
また、神経筋疾患に対すて遺伝子治療や核酸治療薬など画期的な薬剤や神経再生医療により分子レベル・細胞レベルの治療が進歩しているが、単独では身体機能を改善できない。これらの患者は様々な代償動作を身に着けており、治療により筋力などが改善しても適切な動作につながらないため、不適切な代償動作から正しい動作に転換するリハビリテーション治療が不可欠である。
上記のように医学の進歩に伴い、リハビリテーション医学にも新しい役割が求められている。近年のニューロリハビリテーションの進歩について概説した。 【2022.7.4】
低侵襲心血管カテーテル治療
吉町 文暢(内科学系循環器内科学)
心臓カテーテル治療は外科的なバイパス術に比較して低侵襲であるため、世界のスタンダードとなった。この際、通常は6Fr、7Fr、8Frサイズのカテーテル使用するのだが、我々は更なる低侵襲治療を目的に、5Fr、4Fr、virtual 3Frというカテーテルを作成した。これらをマルチセンターレジストリーで効果を確かめると共に、使用法の技術指導も国内外で開催した。
穿刺部位も、大腿動脈から橈骨動脈、さらには遠位橈骨動脈と変遷され出血性合併症にすぐれながらも患者の術後の快適さが向上している。
最近では、エコーや近赤外線使用して動脈を可視化しながら穿刺行ったり、各種シミュレータを使用してトレーニングを行ったり、3次元プリンターで実際の患者の大動脈と冠動脈の鋳型を作成して実際の治療前にシムレーションを行ったり、さまざまな近年のデジタル技術を駆使して、より簡略に低侵襲治療を患者に提供できるように新技術の開発と指導を行なっている。 【2022.7.4】