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2020年度 新任教授記念講演会要旨
《新任教授》氏名をクリックすると要旨が表示されます。
《新任教授》教員所属表順
三位一体の解剖学を目指して
林 省吾(基礎医学系生体構造機能学)
医学部卒業後、解剖学を専攻すると共に、学生時代から関心があった医学教育学との二足のわらじで、これまで教育・研究を続けてきた。解剖学教育においては、「此処は、死が師として、生者に手助けをする場である」という言葉をモットーに、観察力の養成を主眼として取り組んでいる。特に、解剖学実習は、実際のhuman dataが得られる卒前教育において貴重な教育機会であり、リサーチ・マインドの養成の場としても重要であると考え、学生による学会発表や論文作成を積極的に支援してきた。解剖学研究では、用語(概念)の実態を明らかにするとともに、変異を定量化し、統計学的解析を行うことで、その法則性、規則性を見出すことに努めている。さらに近年、本邦でもcadaver surgical training(CST)が急速に広がりつつあり、解剖学の立場からの貢献を新たな研究テーマの一つとするようになった。主要な成果として、質感が実際と異なる、十分な例数が確保できないなど、遺体に起因する課題の克服のため、新たな固定法であるsaturated salt solution(SSS)法をCSTに導入した。今後とも、教育・研究・臨床の全てに貢献できる、三位一体の解剖学を目指して参りたい。 【2020.6.16】
ウイルス感染の制御を目指して
山本 典生(基礎医学系生体防御学)
今世紀は「ウイルスの世紀」と言っても過言ではないだろう。2002年にはSARSのアウトブレイクがあり、2009年は新型インフルエンザA(H1N1)pdm09が世界的に流行した。2012年にはMERSが発生し、2013年からは鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの人への感染が報告されている。さらに、2013年から2016年にかけて、人類は歴史上最大のエボラウイルス病の流行を経験した。そして今、COVID-19の世界的な流行が大きな問題となっている。私はこれまで、「ウイルス感染症の解決を通して、人類の幸福・発展に貢献したい」との思いから、「ヒトに対して病原性を有するウイルスの感染制御」をテーマとして研究を行ってきた。現在は、特にCOVID-19の治療法の開発、重症化メカニズムの解明、予防法と診断法の開発に焦点を絞り、研究に取り組んでいる。COVID-19問題の沈静化に役立つ仕事ができるよう、東海大学にてウイルス研究を展開していく所存である。【2020.6.22】
大学病院における臨床検査の役割と今後の展望
村田 光繁(基盤診療学系臨床検査学)
大学病院における臨床検査医の役割は、検査精度や診断能の向上、高度医療に不可欠な最新検査の導入、抗生剤の適正使用や院内感染対策、及び医療安全対策など多岐にわたります。私は循環器内科医の経験もあり、これまで診療科と検査科の両方の立場から診療科に役立つ検査科運営を実践してまいりました。特に、心臓超音波検査を専門としておりますので、心臓手術やカテーテル治療の周術期検査はもちろん、外科手術や化学療法時の心機能評価等幅広く診療支援を行なってまいりました。東海大学病院におきましても、これらの経験を活かし診療科と密に連携し現場のニーズにあった検査体制を整えてまいりたいと考えております。特にこれから発展が期待されるAIやIoT等を用いた近未来的な医療、中でも患者個々に合わせたテーラーメード医療など高度医療に対応できる体制を導入したいと考えております。今後も東海大学発展のため尽力してまいりますので何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。【2020.6.22】
呼吸器疾患における地域医療と大学の連結 ~えりも町Studyを通じて~
海老原 明典(内科学系呼吸器内科学)
私は東海大学医学部へは1994年に学士入学をさせて頂き、卒後第ニ内科(現呼吸器内科)へ入局させていただきました。厳しくもやりがいのある経験を積ませて頂き、その後、東京都済生会中央病院へ呼吸器内科専修医として出向させていただきました。その後、北海道えりも町での僻地医療を5年間行い、その間喫煙と慢性呼吸器疾患の疫学研究を行いました。2010年より付属東京病院呼吸器内科へ帰室させて頂き、それまでに集積してきた慢性呼吸器疾患患者のデータを基に解析研究を行いました。これまでに本当に多くの素晴らしい先生方に出会えて現在の仕事に励むことができることに感謝申し上げます。現在、付属東京病院では新型コロナ感染症を診るための東京都診療協力病院としての機能と渋谷区医師会との連携でのPCRセンターを運営して行くことになっており、呼吸器内科医としての責務がより重大となります。今後も付属病院、付属大磯病院、付属八王子病院の先生方の応援を受けて活動していきたいと考えております。よろしくお願い致します。【2020.6.16】
呼吸器外科医として、大学教員として
増田 良太(外科学系呼吸器外科学)
「呼吸器外科医として、大学教員として」というテーマで講演を行った。東海大学での胸腔鏡手術のアプローチは独特である。助手は、スコープを持つだけでなく助手もこなす必要がある。これは、術者を任されるまでの重要なトレーニングであり、この準備期間こそが最重要である。研究は「肺扁平上皮癌の浸潤様式」について行ってきた。自分たちが切除した検体を用いて、多くの後輩医師と議論を重ねられることに外科医としての喜びを感じている。今後は、希少癌で同じく浸潤傾向のある胸腺癌や胸膜中皮腫に応用していく予定である。また、教育計画部次長として国試対策委員長を任されてから3年間を振り返った。国家試験を念頭に置いた卒業試験を常に目指しており、直近の過去問をより重視するようにした。国家試験の得点率は徐々に上がってきており、卒業生が安心して国家試験にのぞめる仕組みを構築していく。後輩たちに寄り添い東海大学のために「人を残す」ことに今後も尽力したい。【2020.6.15】】
効率的手術室運営と多職種連携
丹羽 康則(外科学系麻酔科学)
効率的手術室運営は永遠の課題である。いかにコストをかけず効率化を図るかがポイントであるが容易ではない。医療業務以外の業務を外部委託することにより本来の業務に業に専念できるようになって久しい。また1人の患者に対して多くの業種の人が関わる多職種連携も最近注目されている。医療経営は営利を目的としないというのが前提ではあるが、手術室に限れば収益を上げるためには手術件数の増加と無駄の排除が不可欠である。近年の診療報酬改定により手術に関わる診療報酬の比重は高まっており、高難度の手術の集約化し、DPC導入により入院期間の短縮が求められるようになった。コスト削減3原則として①業務の集中化②業務の標準化③業務の機械化が指摘されている。手術において様々な過程を見直し、業務改善を図ることが有用である。手術室で働く様々な職種の人達と一丸となって効率的手術室運営を目指すと共に、働きやすい職場作りが重要である。【2020.6.22】
小児医療の充実と発展をめざして
加藤 政彦(総合診療学系小児科学)
八王子病院小児科では、現在、常勤医10名 (うち小児科専門医8名) 体制で診療にあたっています。当科では、多くの非常勤の先生方のお力添えのもと、感染症、喘息などのアレルギー疾患、腎臓疾患、神経疾患をはじめとして、予防接種、乳幼児健診、重症患者のICU管理まで幅広い診療を行っています。昨年より、小児科ホットラインを開設し、近隣の医院や多摩地域の病院とのよりよい連携がとれるように努めています。当科は、2019年2月より、東京都アレルギー疾患医療専門病院の指定を受け、当該地区でのアレルギー疾患医療の中核として、高度な専門診療の役割を担うこととなりました。日頃より、「患者さんの訴えをよく聞き、丁寧な診療を心がける」をモットーとし、今後も、地域の子どもたちを守る小児科として、スタッフとともに、診療に励んでいきたいと思います。また、学生教育、研修医教育、良質な小児科専門医の育成に加えて、大学院教育にも尽力したいと思います。さらに、地域への情報発信や地域に還元できるような臨床研究についても、引き続き、積極的に行っていきたいと思います。【2020.6.22】