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2020年度 例会及び講演会発表要旨
●2020.12.7|ヒトES細胞の研究から応用へ
阿久津 英憲
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
再生医療センター 生殖医療研究部部長
木村 穣(医の倫理委員会副委員長)

国立成育医療研究センターでは、組織設立当初から小児の難病研究、治療法開発のためにヒトES細胞の樹立研究を整備してきた。ヒトES細胞の樹立指針に則り、わが国2番目の施設として、ヒトES細胞の樹立計画が承認され2010年にヒトES細胞(成育ES細胞:SEES)の樹立を報告した。国立成育医療研究センターでは、ヒトES細胞による再生医療研究を進め、2020年5月に、ヒトES細胞を活用した先天性高アンモニア血症に対する再生医療の成功を報告した。ヒトES細胞による再生医療はわが国初であり、肝臓への移植、さらに新生児に対するES細胞-再生医療は世界初の事例となった。
本講演では、現行のヒトES細胞に関する指針の制度と運用を概説し、ヒトES細胞の再生医療研究の世界的な状況を報告する。加えて、国立成育医療研究センターで行ってきているヒトES細胞の研究と再生医療応用についても紹介したい(文責:阿久津英憲先生)。
●2020.12.11|核型の記載方法と結果の解釈
三浦 偉久男
SRL 遺伝子・染色体解析センター
中村 直哉(基盤診療学系 病理診断学)

白血病は骨髄性とリンパ性の両方に分化しうる細胞の腫瘍である。成熟細胞腫瘍は、Tリンパ腫がT細胞になって腫瘍化し増殖した腫瘍であるのに対し、Bリンパ腫は分化の過程で腫瘍化しB細胞になって増殖した腫瘍である。Bリンパ腫の染色体には腫瘍化の異常に進化の異常が付加されている。その典型例がdouble-hit lymphoma(DHL)である。染色体解析は各腫瘍細胞の進化過程と生物学的意義を明らかにしてくれる。核型読解のための基礎に触れ、DHLでその実践を示す。
●2020.12.18|移植(GVHD)の病理
伊藤 雅文
名古屋第一赤十字病院病理部・副院長、病理部長
中村 直哉(基盤診療学系 病理診断学)

造血細胞移植は、自然界に存在しないキメラを作る医療である。造血の移植であるが免疫も移植され、その副作用であるGVHDは、アロ免疫反応によるアポトーシスを基盤とする組織変性から生じる病態である。キメラ状態の免疫は、生体にどのような反応を生じるかを病理組織像から読み解く。NIHガイドラインでは治療介入の観点から、活動度評価と鑑別診断に重点が置かれている。皮膚、腸管、肝臓の病理所見を中心に、病変の免疫背景と鑑別のポイントについて解説する。