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2019年度 退任教授記念講演会要旨
《退任教授》氏名をクリックすると要旨が表示されます。
《退任教授》教員所属表順
耐性菌について考えた30年:病原性、遺伝子伝達、疫学、サーベイランス、電子システム、アルゴリズム
藤本 修平(基礎医学系生体防御学)
群馬大学入学後、社会統計、コンピューターについて学ぶ機会に恵まれ、現在に至るまで、多くのシステム開発、疫学研究に携わることができた。卒後、市中、僻地での診療を通じて多くの貴重な経験を得た。33歳の時、薬剤耐性プラスミドで優れた研究があった母校微生物学の大学院生になり腸球菌フェロモン依存性接合伝達プラスミドの研究を始めた。ミシガン大学では、同様のプラスミドにおいて未同定であったフェロモン受容体の同定と機能解析を行った。帰国後、細菌学的研究の傍ら、感染症・耐性菌のサーベイランスであるJANIS、国立大学感染症管理システム、中小規模病院感染症監視システム(現SHIPL)の開発、システムで用いるアルゴリズムの研究・開発に携わった。東海大学に移ってからは、さらに、分子疫学的検証、介護施設での調査、感染対策の地域連携支援システム(RICSS、現J-SIPHE)の開発に携わった。学内外の多くの仲間に恵まれたことが何よりの思い出になった。【2020.3.9】
一期生として「呼吸」を勉強してきた半世紀をふりかえる
桑平 一郎(内科学系呼吸器内科学)
私が東海大学医学部に第一期生として入学したのが1974年なので、今から46年前である。3年生の頃、当時生理学教室の助教授であった太田保世先生が教科書に指定されたのが、John B. Westによる「呼吸生理学入門」であった。この出会いが呼吸を勉強するきっかけである。卒後は大学からの勧めもあり、生理学教室(沖野遥教授)の大学院に進んだため、先に学位を取得してから前期研修を行うという変則的な経歴となった。呼吸器内科学教室(山林一教授)に入局後3年目にドイツのマックスプランク実験医学研究所(Johannes Piiper教授)に留学させて頂いた。テーマは低酸素環境への順応と適応であり、現在までこの領域での研究を続けている。さらにカンサス大学メディカルセンター生理学教室(Norberto C. Gonzalez教授)にも大変お世話になった。約半世紀にわたり呼吸を勉強してきたが、本当に数多くの方に支えられてきた。心から感謝の意を表したい。【2020.3.9】
私の人生教育
益田 律子(外科学系麻酔科学)
まず、貴重な講演の機会をいただいた、東海医学会に深く御礼申し上げます。この記念講演会のおかげで、医師としての40年間を追体験することができました。筆者が母校を卒業して医師免許を取得した1980年は、未だ女子卒業生への門戸は狭い時代でした。幸い、筆者は、米国帰りの横山和子・日本医科大学名誉教授に麻酔科学を、故・田沼久美子前准教授には解剖学を学ぶことができました。教室の仕事として恩師と手掛けた脊髄くも膜下麻酔法の成書作成は、本年、第4版を上梓いたしました。難治性疼痛には脊髄周囲の解剖学調査より多くの知見を応用することができました。オランダCrul BP前教授より脊髄鎮痛法の指導を受け、本邦の難治性がん疼痛治療に応用できたことは、筆者にとって大きな成功体験となりました。脊髄解剖学の知見は、海外研究者Reina MA教授による“Atlas of Functional Anatomy for Regional Anesthesia and Pain Medicine”の一部を担当させていただけただけでなく、日本ペインクリニック学会における安全委員会立ち上げの契機にもなりました。これらは、筆者が大学という学術機関に所属していたからこそ、得られた貴重な体験でした。麻酔科学にかかわっている若い先生方には、積極的に学内外・国内外の専門家と交流し、素晴らしい経験、多くの成功体験を得られますよう、強く願っています。【2020.3.9】
浅井ちゃんに叱られる
金子 明寛(外科学系口腔外科学)
1.口腔常在菌と耐性菌(抗菌薬使用量を軽減しないと叱られる) 口腔常在菌が他の菌種に耐性遺伝子を伝搬する。高齢者肺炎の起炎菌となるペニシリン耐性肺炎球菌は. 1980年代よりS. mitis のペニシリン耐性化の増加と共にS. mitisから耐性遺伝子が伝搬された。淋菌も口腔Neisseriaから遺伝子伝搬され、ペニシリン耐性菌が増加している。口腔常在Neisseriaの検討では第三世代セファロスポリンを含むペニシリン耐性が増加している。選択圧を軽減するために、抗菌薬の適切な使用が求められる。

2.抗菌薬耐性菌、医療環境から市中への拡散(標準予防策を徹底しないと叱られる) 院内PHSには病原菌が付着し、手指にもPHSと同じ遺伝子の耐性菌が付着している。手指衛生を怠ると院内PHSは病院感染源の要因となる。温水洗浄便器のノズル部分は細菌により汚染され、MRSAおよびESBL産生腸内細菌が検出される。複数患者が同一装置を使用することにより、耐性菌の拡大が懸念される。耐性菌の蔓延を止めるために、各人の手指衛生の徹底が求められる。【2020.3.16】
構造と機能の可視化を目指して
飯田 政弘(専門診療学系耳鼻咽喉化学)