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2022年度 退任教授記念講演会要旨
《退任教授》氏名をクリックすると要旨が表示されます。
《退任教授》題目順
内科医40年
安藤 潔(内科学系血液・腫瘍内科学)
卒後40年となり、その間内36年間を東海大学で御世話になりました。これまで様々な場面で御世話になった方々に感謝申し上げます。

36年の最初の10年間は旧微生物学教室(佐々木正五先生、橋本一男先生)で御世話になりサイトメガロウィルスやレトロウィルスベクターの研究を行いました。この経験が後の血液学研究に大変役に立ちました。また1991年より3年間は米国ダナ・ファーバー癌研究所へ留学の機会をいただき、J.D.Griffin先生の研究室で血液細胞の細胞周期研究を行いました。帰国後1997年より堀田知光教授の血液内科学教室に加えていただき今日に至ります。

白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液疾患は希少疾患ではありますが、診断および治療プロセスが複雑で血液専門医でなければ診療できません。神奈川県西部100万人の医療圏の皆様に最高レベルの血液診療を提供できるように努力してまいりました。看護師、検査技師を始めとする病院スタッフの皆様のご協力に感謝いたします。【2023.3.1】
東海大学で学んだこと
稲垣 豊(基盤診療学系先端医療科学)
2002年4月1日付けで地域・環境保健系 地域保健学(当時)の助教授として着任以来、21年が経過しました。この度の退任記念講演では、在任中に考えたことや教えて頂いたことをふり返りつつお話をさせて頂きました。

医学部の学生教育においては、何よりも病態を正確に把握し、詳細な鑑別診断を行うことが基本と考えています。12年間にわたって交換留学のお世話をさせて頂く中で、学生には多様な価値観を理解させ、幅広い視野と積極性・自律性を育むことの重要性を実感し、それに応えて成長する姿を間近に見られたことは、教員として幸せなことでした。

伊勢原研究推進部長を拝命した期間中は、教育・研究支援センター(現 生命科学統合支援センター)の組織改革や、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業への応募と採択後の推進において、いずれも教職員が文字通り一丸になって取り組む本学の強みを感じ、その中で自身の研究にも一定の結果を残せたことに心からの感謝を申し上げます。【2023.3.1】
一小児科医、そして一研究者として
加藤 政彦(総合診療学系小児科学)
東海大学では、約9年間と短い期間ではありましたが、大変お世話になりました。前半は伊勢原の付属病院で、後半は八王子病院に勤務しました。伊勢原では、当教室の学術委員長として、その活動と活性化に努めました。その結果、計3人の医学博士取得に指導医として貢献しました。八王子では、赴任後まもなくコロナ禍となりましたが、国内初のCOVID-19肺炎家族例を英文誌 (Ochiai S, et al, Jpn J Infect Dis 74: 563-566, 2021) に報告する機会に恵まれました。また、患者擁護委員会の委員長を務め、小児のみならず成人例についても対応させて頂き、貴重な経験を積むことができました。

今後は、科研費研究継続のため、伊勢原に出向き、また、専門外来診療のため、八王子にもお世話になる予定です。今後とも、皆様のご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

末筆ながら、東海医学会のますますのご発展をお祈り致します。【2023.2.27】
体性幹細胞 vs iPS細胞:長年にわたる骨格筋間質由来幹細胞(Sk-MSC)研究で思うこと
玉木 哲朗(基礎医学系生体構造機能学(生理学)
本学で約40年進めてきた「Sk-MSCを用いた自家幹細胞移植による組織再生治療法開発」と「iPS細胞の登場とその再生医療的現状」についてお話しした。2000年初頭、「ドナーのいらない、免疫的拒絶反応を考慮する必要のない再生医療」を目指して、体性(成体)幹細胞の同定とその移植法開発競争が始まった。様々な報告がなされる中、我々のSk-MSCは末梢の神経・筋・血管系細胞に分化し、損傷後の組織機能再生に貢献出来ることを証明してきた。その間2007年に登場したのが「自家細胞移植可能で、かつ万能細胞」とする「iPS細胞」である。即ち、中枢神経系細胞へも分化出来るという点で、理論上Sk-MSCを上回ることとなった。その結果、iPS細胞を用いた再生医療研究に莫大な予算が集中したが、未だに「移植細胞」としての安全性も機能性も確立されていない。それどころか、自家移植を諦めて「iPS細胞バンク設立」にまた莫大な経費が割かれているのが現状であり「当初と全く話が違う」である。実用性からどちらを採る(伸ばす)べきか、今一度考える時では。【2023.3.1】
低侵襲手術+COVID-19
山田 俊介(外科学系呼吸器外科学)
私は東海大学を卒業後、助教を2年間勤め1992年にトロントのT G Hで初めて胸腔鏡手術を経験し感銘を受けました。2002年に八王子病院が開設され、大学に戻った時も胸腔鏡手術はまだ肺がん手術など技術面では十分ではなく、否定的な意見も多く聞かれました。試行錯誤しながら技術の向上に努め、同時に小型肺がんに対し胸腔鏡下区域切除術にも取り組みました。この手術が時代と共に大きく成長し、区域切除術も小型肺がんの標準術式の一つとして認められた事は嬉しい限りです。2020年に病院長に就任すると、今まで経験のない新型コロナ感染症に直面しました。ウイルスの特性が不明な感染の初期段階から、ワクチン接種が促進され、治療薬の確保ができる段階まで大きな問題もなく乗り切ることができたのは、なりよりコロナ対応への初動の速さが、次々と変化する事象への対応を可能としその強化につながったものと考えます。外科医として、また病院長時代には多くの信頼できる仲間達と共に、未開拓な分野に挑戦し成果も勝ち取る事ができ、とても有意義な日々を過ごせたなと感じています。 【2023.2.27】